量子力学って何?古典力学との違いとその意義をわかりやすく解説!

量子力学って何?」「何のための学問なの?」「まず古典力学と何が違うの?」
といったような疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか?

この記事はできるだけ多くの人に、量子力学とは何のための学問なのかを知っていただくための記事です。早速ではありますが量子力学が生まれた歴史的背景や、解決してきた謎、量子力学の応用可能性を紹介していこうと思います!

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量子とは

まず最初に、量子とは何でしょうか?簡単にお答えすると量子というのは、ずばり小さい粒子のことを総称しています。

地球上のものは全て分割していくと原子という小さい粒子に分割でき、それらはさらに電子、陽子、中性子などによって構成されているというのは聞いたことがあると思います。

それらが満たす物理的法則(どうやって運動するのか)を考える学問が、量子力学です。

つまり、量子力学はミクロな物体に適応される物理現象や物理法則を扱う学問といっていいでしょう。

 

古典力学との違い

古典力学とはミクロな世界を扱う量子力学に対して、マクロな物体に適応される物理現象や物理法則を扱う学問です。

例えば、ボールを東京タワーの上から落とすと地面に到達する時にはどれくらいの速度になっているでしょう?といった問題は、力学の問題です。原子レベルで考える必要がありません。わざわざ量子力学を持ち出す必要がなく、簡単な力学を使えば大雑把に計算することができるのです。

ちなみに、古典力学の祖と呼ばれているのが、物理学者のアイザック・ニュートン(17世紀)です。りんごが落ちる様子をみて重力を発見したエピソードはあまりにも有名ですよね。

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古典力学では解決できない課題

ではなぜ、力学だけではなく、量子力学が必要になってきたのでしょうか?それは、古典力学では説明できない現象が様々あったからです。ここから先は少し数学的な議論がありますので、もしわからなければ飛ばしてしまって結構です。

原子スペクトル

原子スペクトルというのは、原子が光を吸収/放出した時にどんな波長の光が放出されるのを表したものです。例えば、水素原子は光を当てるとある波長の光(紫・水色・赤などの光)を吸収します。どの波長の光が吸収されるかは原子固有の値を示します。

これは、古典力学では説明できません。光の吸収は、原子内に存在する電子が光から運動エネルギーを得ることによって起こると考えられていますが、それでは原子固有の値をとるはずがなくどんな波長でも吸収されてしかるべきです。この謎を説明したのが、量子力学です。

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20世紀初頭、物理学者ボーアは原子核の周りを回っていると考えられていた電子には軌道があり、その軌道が離散的なエネルギー値をとるため、光のエネルギーを吸収した時に離散的なエネルギーのものしか吸収できないと考えました。

しかし当時はなぜ離散的な値しか取れないのか、それはどうやって数学的に記述できるのか?というのが全く学問として成立しておらず、それが量子力学の始まりです。(本当はもっと19世紀後半から古典力学に対する疑問は出てきてはいましたが)

量子力学の応用可能性

今までとてもざっくり量子力学の成立を見てきましたが、量子力学の応用可能性はどういったところにあるのでしょうか?

量子コンピュータ

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量子コンピュータとは、今までの0と1のビットではなく、0と1の重ね合わせで情報を表現し並列計算を行うことで、従来のコンピュータよりも素早く計算処理ができる全く新しいコンピュータです。

これによって従来のコンピュータでは解くことができないとされていた暗号が、計算処理が早くなったことで解くことができるようになってしまう。などとよく言われていますよね。気になる方はショアのアルゴリズムなどで調べて見てください!

この量子コンピュータという技術は量子力学や量子情報といった学問の上に成り立っています。暗号解読以外にも、様々な問題に関する解をすばやく見つけることができると言われており、世界中で注目を集めている学問です。

量子時計

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量子時計とは、簡単に言うと量子力学を利用した非常に正確な時計のことです。これを用いることによって、世界中のどこにいても正確な時間を知ることができます。現在の原子時計は数千万年に1秒の誤差をうむものであるが、今後量子時計の技術が進歩すれば3億年に1秒のずれで済むといわれています。

最後に

いかがでしたか?量子力学は20世紀の初頭にはじまり、21世紀になってようやく実用可能性が出てきた今非常にホットな分野です。他にも様々な応用可能性があるので、興味がある方は他の記事も読んで見てください。